中二病のアイテムとして欠かせない「魔導書(グリモワール)」。アニメやゲームの中の産物と思われがちだが、歴史上には実際に魔術の作法を記した「本物のグリモワール」が多数存在する。現代の創作の源泉となった、呪われた書物の正体に迫る。
1. ソロモンの鍵(The Key of Solomon)
最も有名なグリモワールの一つ。古代イスラエルの第三代国王ソロモンが著したとされる(実際には中世・ルネサンス期の成立)。天使から授かった知恵により、72の魔神を使役したという伝説に基づき、魔術的な図形(五芒星や六芒星)の描き方や、精霊を呼び出すための祈祷文が詳細に記されている。
中二病的な「魔法陣」や「ペンタグラム」へのこだわりは、この書籍の影響を色濃く受けている。何世代にもわたって、多くの魔術師たちがこの書を手に、深淵の存在と対話しようと試みてきたのである。
2. レメゲトン(Lemegeton)
別名「ソロモンの小さな鍵」。17世紀頃に成立したとされる魔術書集で、第一部「ゴエティア」には有名な「ソロモン72柱の悪魔」の印章と、その召喚法が記されている。中二病において、自分の守護魔神を決めたり、特定の悪魔の名を口走る行為の原典は、間違いなくこの書にある。
悪魔学という分野を確立し、後にアレイスター・クロウリーなどの高名な魔術師たちにも多大な影響を与えた。冷徹なシステムとしての魔術が、ここには記述されているのである。
3. アブラメリンの魔術書(The Book of Abramelin)
15世紀に書かれたと言われる、非常に実践的で過酷な魔術書。半年間に及ぶ厳しい修行を経て、神聖な守護天使と契約を結び、地獄の王たちを使役する力を得るという内容。魔法陣ではなく、文字を組み合わせた「魔術方陣」を用いるのが特徴である。
「代償」「厳しい修行」「禁忌」といった、中二病のハードな世界観を支える要素が詰まっている。本当の力とは、安易な妄想ではなく、このような凄絶なプロセスを経て獲得されるものだという畏怖を、我々に教えてくれる一冊である。